耐候性は製品の寿命や耐久性にとって重要な要素です。
特に建築材料や塗料、自動車の外装など、屋外で使用される製品は長期間の曝露に耐えなければなりません。
耐候性寿命の正確な評価は製品開発や品質管理において欠かせません。
本記事では、サンシャインウェザーメータ試験を用いて耐候性寿命、いわゆる屋外暴露何年分に相当するのか求める方法について解説します。
サンシャインウェザーメーター試験で
実際の屋外環境を再現するための加速試験方法だよね
耐候性寿命を換算することって出来る?
暇人(@ships_himajin)です。
この記事は、建築材料や塗料、自動車の外装など、屋外で使用される製品の耐久性に興味を持つ読者を対象としています。特に、製品開発や品質管理に携わる金属材料技術者や関連する専門家が読むことで、耐候性寿命の評価方法について理解を深めることができます。
後悔させません。
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・製品の耐久性に興味を持つ方
・材料技術者
・耐久性寿命を算出する必要のある方
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サンシャインウェザーメーター(SWOM)試験とは
まずはサンシャインウェザーメーター試験について述べていきたいと思います。
サンシャインウェザーメーター(SWOM)試験について
サンシャインウェザーメーター試験は、実際の屋外環境をシミュレートするための加速試験方法の一つです。試験装置は特殊な光源と加熱装置を備えており、日光や熱を効果的に再現します。これにより、試験期間中に製品が受ける太陽光、温度変化、湿度変化などの影響を模倣することができます。
サンシャインウェザーメーター試験の条件
サンシャインウェザーメータ試験では、製品の実際の使用環境に近い試験条件を設定する必要があります。以下の要素を考慮して試験条件を決定します。
a. 光量と波長分布: 製品が曝露する太陽光のスペクトルを再現します。一般的には、紫外線(UV)、可視光線、赤外線(IR)の各領域を考慮します。
b. 温度変化: 製品が受ける温度変化を再現します。試験条件では、日中と夜間の温度変化や季節ごとの温度差を考慮します。
c. 湿度変化: 製品が受ける湿度変化を再現します。特に屋外の環境では、湿度の変動が製品の劣化に与える影響が大きい場合があります。
寿命の考え方
サンシャインウェザーメータ試験を終了した後、試験された製品の状態を評価します。
色の変化、表面の劣化、物理的な変形などの観察を行います。
また、試験期間中に製品が受けた変化を定量的に評価するための物理・化学的な解析も行います。
これらの解析結果を基に、製品の耐候性寿命を評価することができます。
通常、製品の耐候性寿命は、試験期間中に観察される特定の劣化レベルや性能低下の基準に基づいて定義されます。
耐候性寿命の評価には経験則や過去のデータ、業界標準なども考慮されます。
サンシャインウェザーメーター試験の寿命の考え方
屋外暴露寿命何年分なのでしょうか。
一緒に考えていきましょう。
紫外線量から換算する。
日本の年間平均全天日射量を4,663.3 MJとします。(気象年表の平均より)
こちらはJIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法 参考2 試験時間より引用しております。
そのうち、紫外線量(300~400 nm)の換算をします。
全天日射量に対する紫外線量の割合をCIE Publication No.85 1st Edition(TC2-17) Table.4 AM1.0から引用します。
300~400 nmの構成比率を6.8%とすると
4663.3 (MJ)×0.068=317 (MJ)
照射量(MJ)は次の計算式で計算されます。
照射量(MJ)=照射強度(W/m^2)×照射時間(hr)×3600/10^6
ここではよく品質規格で定められている2000時間で考えてみます。
全天光時の換算年数=78.5(W/m^2)×2000(hr)×3600/10^6/317.1
=1.8(年)
意外と少ないですね。
ここで太陽光の当たる時間帯を考えます。
全天日射計はドーム型のガラスで出来ており、全方向から日射を取り込みます。
実際にいくら南向きでも直射日光が当たるのは全体の太陽が出ている時間の半分程度です。
日陰の場合もありますし、製品が北向きの場合は常に日陰です。
そのためここでは2倍をかけて3.6年と考えます。
次に太陽光の当たる角度を考えます。
ウッドデッキやベンチ等特殊なケースを除いて大抵は地面に対して垂直に製品が設置されます。
建物の外壁、接着剤、シーリング材、自動車の塗装等、太陽光が当たる面は大抵地面に対して垂直です。
もちろん全天日射量は地面に対して平行に置いてあるわけなので実際の商品の設置状況よりも日射量は多いわけです。
その場合、下記の文献より単位面積当たりの日射量は2.5分の一となります。
窯業系サイディングの長期耐久性評価手法に関する標準化調査研究成果報告書
3.6×2.5=9年分となります。
何となくサンシャインウェザーメーター試験2000時間が屋外暴露10年に相当するという経験値もあるようですが、
計算値も同様の結果になったことはとても興味深いですね。
参考文献
コンクリート開水路補修工法の性能照査に関する提案
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsidre/88/6/88_467/_pdf
株式会社DJK 高分子耐候性
CIE Publication No.85 1st Edition(TC2-17) Table.4 AM1.0
JISD0205:1987 自動車部品の耐候性試験方法
窯業系サイディングの長期耐久性評価手法に関する標準化調査研究成果報告書
まとめ
サンシャインウェザーメータ試験は、製品の耐候性寿命を評価するための重要な手法です。
屋外暴露に換算するとサンシャインウェザーメータ試験2000時間分が9年分に相当することが分かりました。
試験条件を適切に設定し、試験結果の解析を行うことで、製品の耐候性を客観的かつ定量的に算出しましょう。
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